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2013-06-15 (Sat)
「きょうは、お帰り、ご一緒できたりしますか」

――――ご主人様にメールをお送りしたのは、昼休みも終わろうかと
いうところでした。

普段そんな時間にメールを送ったりはしないので、お仕事に
出かけようとされていたご主人様は大層驚かれたそうです。
2時間近くたって、「送るだけなら、なんとか、時間作れるかも」と
いうお返事を頂戴しました。

わたしの仕事が終わって駅に向かうころ、ご主人様が先に駅に到着されていました。
駅の表口で待つご主人様を見つけて、なんというかまるでわんこのように
嬉しそうな顔をして近づく様子に、ご主人様は苦笑されながら
「たく、もう」
とおっしゃいます。
車に乗って、走り出した直後、ご主人様が

「今週は難しいって、言ったじゃないか」

とおっしゃって、わたしの鼻をつーんとつまみました。

「あう」
「鼻つまみしてやる」
「うー」

ごめんなさい、と申し上げつつも、ご主人様のお車に乗せていただき
送っていただけることが、嬉しくてたまらなくて。
多分ホントに嬉しそうな顔だったのだと思います。

「なーにニコニコしてるんだっ」
「ごめんなさい(´・ω・`)」

でも、ご主人様のお顔が終始苦笑気味でしたので、
わたしはくすぐったい嬉しさを感じていました。

「ごめんなさいじゃないだろう。ありがとうございます、だろう」
「はい、ありがとうございます」

車の中ではほとんどわたしの好きなものについてのお話をし
行きたいところなどのお話もし
きょうはご主人様のおっしゃる通り夕飯まではできなかったので
あっという間に家に着きました。

まだ外は明るかったのですが
ご主人様は抱き寄せてくださって、キスをくださいます。
「いい子いい子」
ただにこにこして、ご主人様にくっついて。


――――ほんとうは。
きょう、どうしても、ご主人様にお逢いしたかったのです。
いつかエントリーにして「お焚き上げ」するつもりでいますが、
きのうからすこしだけ、わたしは揺れていました。
別にご主人様への想いがどうのこうのではなく、
それは過去の記憶に連なる、ちょっとした動揺でした。


けれど、きょうお逢いできて、ほんとうに、
心から安心できるかたはこのかただけだと再確認しました。
なかなか車から降りたくなくて――――しかたなくて。

「あしたは、また稽古?」
「です」
「そうか」

ご主人様の手が、わたしの手をぎゅうと包んでくださいました。

「稽古がうまくいきますように。稽古がうまくいきますように」

そのつぶやきが、とても、嬉しくて、心地よくて。
ご主人様わたしの手を包みながら、指先に目をとめられました。
いつもよりずっと車の中が明るかった、というのもあったでしょうが、
きのうのエントリーをご覧になったのかもしれません。

「ああ、綺麗になってきてるね。よかった。よかった」

両の手や爪を撫でられながら、

「うん、皮膚も、綺麗になってるし、大丈夫だね。ちゃんと元気になってるね」
「はい(*´`*)」
「すこしずつね。すこしずつ、やってこう」

ご主人様の牝犬ですもの。
すこしずつ、いっぽいっぽ、頑張ります。


「いいかい、ありがとうございます、で、いいんだからね」
「はぁい」
「ようし。……俺はこれからまた仕事(笑)」
「ご無理なさいませず」
「大丈夫、無茶は、していないからね」
「お帰り、お気をつけて」
「うん」


そんな会話で、ご主人様のお車は走り出していきました。
わたしは玄関先から、ご主人様のお車が小さくなるまで見送りました。


――元気出た。(*´ω`*)

ブレないように、自分をもっていよう。
いっぽいっぽ、歩いていこう。



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