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2013-03-20 (Wed)
休みの日だけあって、車がなかなか停められなかった、と、そのかたはおっしゃいました。
わたしはとにかく無事に出会えたことにホッとしていました。

「お茶でも飲みましょうか。お昼ご飯にはまだ少し早いですし」
そんなことを言われ、エスコートをされて、チェーン系の喫茶店へ。
そこで、名刺をいただき、しばし普通の話に花が咲きました。
わたしがサークルをやっている話や、そのかたのお仕事のお話など、
とても楽しく、飽きない時間でした。

「最終的な決め手があるとしたら、声の雰囲気かな。外見は、あんまり気にしません」
とのお話もありました。お好みについてお伺いしたときです。
メールでは、ご本人も、調教時にはお声が低くなるとのお話でしたから
互いの聴覚をより大事にされるのかもしれません。
第一印象は、とりあえず、悪くなかったようです。

お茶を飲むうちお昼の時間になりましたが、
あまり外食はされないとのことで、場所に悩んでおいででしたので、
とにかくこれから食べる場所を探しましょうということになりました。


――――さて、前日に買ってあったバレンタインの品物を
いつ渡すかで、わたしはこの日の朝まで悩んでいました。
最終的には朝の化粧中にリーダーに相談し
「そんなもんデートの比較的最初に渡さないといかんでしょ」
とのアドヴァイスのもと、わたしはタイミングをはかっていました。


駐車場までエスコートされたとき、車がブーンと横切りました。
そっ……と、腰に手が回されて、寄せられたとき、
とてもドキドキしたのを覚えています(´∀`;)
細かいところでいちいちドキドキする困ったさんです(笑)

車に乗り込んで、さあ出発というときに、わたしは
(ここだ――――!!)と思い、バレンタインのプレゼントをお渡ししました。
なにしろそのかたが甘いものお好きかどうかも、この時点では不明で
いろいろと自信がなかったため、ハンカチと小粒のチョコレートを
組み合わせてラッピングしなおしたものではありましたが、
とても喜んでいただけましたε-(´∀`*)


車の中で、またいろんなお話をしましたが、残念ながら
だいぶ舞い上がっていたらしくほとんど覚えていません(汗)
いろいろ探して、ファミリーレストランでお食事することになりました。
ご飯を食べながらも普通のお話を色々と。
普段わたしはあんまりしゃべらず、黙ってしまうことが多いのですが
この日はそうでもなかったなあと思います。
お話するのが、とても楽しかったのでしょうね。


食事が終わり、車に乗り込んだのは12時45分くらいでした。
このあとはどこに行かれるのだろう……? と
ノーテンキなことを考えていましたら、そのかたが口を開きました。

「サークルの本番の日というのは、決まっているの?」

わたしはそのお尋ねに、はい、ある程度決まっています、とお答えしました。
あわせて、練習についても、日程や休むことについてのお話もしました。
そのかたはそれを聞いて、静かに口を開きました。

「隙間の時間ができるなら、そういう形で付き合うことができるね。
 日常の仕事や、趣味はほんとうに大切にしてほしいと思う。
 そのなかで、寂しいと思う時間、空いた時間ができたなら、
 その時間を俺にくれればいい。だから俺は『おいで』って言うよ」

運転なさっていた左手が、手のひらを上にして、すっと差し出されました。


( ゚Д゚)

頭の中で、小さなわたしが裁判所から出てくるひとびとのように駆けまわって、
「13時5分!! 『おいで』いただきました――――ッ!!」と、わあわあ大騒ぎしました。
しかも思わぬタイミングで、ほんとうに言われるかどうかも
わからなかったことをおっしゃっていただいたことに完全に動揺し

「わ…………わたしでいいんですか……?」

となんともトンチキなことを聞いてしまう始末。
「だから、おいで、って言ってるよ」
ともう一度言われ、心臓がドキドキドキドキと打ちました。

乗せたら……
わたしは……
このかたの……

そのかたの手のひらを見つめて、わたしは決めました。
ほんのすこし、こわごわ、わたしは自分の右手を乗せました。
そうしたら、そのまま、指と指が交互に組み合わさるかたちで手を握っていただきました。
多分表情には余裕がなかったと思いますわたし。

男のひとと、手、こんな握り方するのはじめてなんだもん(笑)


「まだ、時間……ある?」
「アリマス」(←余裕がない上ガッチガチ)
「儀式というか……、初めての調教を、しよう」
「はぅ……ハイ」(←まだガッチガチ)
「怖い?」
「まったく怖くないと言ったら嘘になります」(←何故ここだけ冷静)
「大丈夫だからね」


広い田舎道を走りながら、車は一軒のホテルにすべってゆきました。



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